updated: August 4, 2001
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高橋正子
masako@suien.net

愛媛県松山市在住/俳句雑誌「水煙」編集発行人



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作品30句

【春】

芹粥の香に高層の朝が来ぬ

ふきのとうに紅ほのぼのと土に生れ

受験子は旅立つ鞄を身辺りに

昔日の白色ひらひら花辛夷

巣立ちし鳥の巣に意味のなく春風

春星は眼鏡に殖えて座を組める

コーヒーに水の旨味よ花の朝

高窓のガラスを花の埋めつくす

春の雲枝の交差を透かせ見す

陽炎となりしごとくに下町ゆく

【夏】

白ばらの空気を巻いていて崩る

ビルの窓すべてで五月の空なせり

立ち読みの白服の背は楽聞けり

バスの後ろ揺らし入りゆく青山河

ダムあまた見し瞳は青く澄むならむ

沢水の足の甲越す蟹捕れば

鮎食めば水の匂いのふと立ちぬ

【秋】

朝顔のつる巻きのぼる屋根があり

ラフマニノフ止めば蜻蛉光りとぶ

ジンジャーの葉を敷きあけびそのほかを

稲光してまた海の方を見る

ともしびに夫・娘寄り来てぎんなん割る

鳩時計響く秋夜をみな眠る

桜紅葉裏返るもの今朝多し

【冬】

地球儀の廻らぬ部屋の師走なり

バラに施肥土の寡黙を掘り起こし

こどもらが密かに葛湯吹いている

蟹鍋の葱を二寸と思い切る

名に聞きし氷下魚の便りイーメール

節分の豆を木枡に整えおく

  


鑑賞

水菜洗う長い時間を水流し

  こんな句は、地味なようで、実は派手な句と言えましょう。自分の感動をよく 吟味し、工夫して、表現した新しさがあります。 (川本臥風)

白ばらの空気を巻いていて崩る

しみじみとしたところがあって、ベテランらしい深みもあります。
私の求めていますのは、明るくて深いところのある俳句です。透明感のある俳句です。(高橋信之)

囀りの抜け来る空の半円球

読み手に快い思いを与えてくれるのは、作り手の心が新鮮で、句を楽しんで作っているからであろうと思われます。句が生き生きとしています。
私たちの俳句は、いわゆる名利の世界とは無縁で、水煙は、出世間の俳句仲間の集まりです。名利の世界を離れてこそ、真実の世界が見えてきます。心は生き生きとして本当の生活を楽しむことが出来るのです。漱石の「則天去私」の心境もこういったものであろうと思います。私たちの俳句の精進は、この心境にいたらんがためのものなのです。私たちの俳句は、内面的なものを求めています。明るくて深いところを求めています。(高橋信之)

秋水湧く波紋をそのまま手にすくう

昭和四十二年、作者二十歳の句。湧水の波紋をすくったその手は、その水の温度まで記憶しているかも知れない。この透明な感覚は誰もが心の中に永遠にしまっている若き日の”私”そのものであろう。(八木泰子)

枝先を風にまかせて萩ゆれる

幼い頃、交通手段がなかったので、父の実家に行くのに海岸沿いの土の道を4キロほど歩きました。帰りは、月の出た道を眠気を我慢しながら両親に励まされて歩いたのを思い出しました。秋の月に照らされて、まさに、<枝先を風にまかせて萩ゆれる>でした。(吉田晃)

【略歴】
昭和22年(1947)1月3日、広島県沼隈郡沼隈町能登原922に生まれる。
昭和34年(1959)3月、能登原小学校を卒業。
昭和37年(1962)3月、千年中学校を卒業。
昭和40年(1965)3月、広島県立沼南高等学校を卒業。
昭和44年(1969)3月、愛媛大学文理学部を卒業。
昭和44年(1969)6月、高橋信之(現在愛媛大学名誉教授)と結婚。
昭和55年(1980)1月8日、長男元出生。
昭和58年(1983)9月3日、長女句美子出生。
 現在俳句雑誌「水煙」の編集発行人。

【家族】
信之
長男
長女 句美子

あさ子
 


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CD−ROM『ひねもす俳句工房』

監修:愛媛大学名誉教授 高橋信之  制作:GFiネット